厚紙はラミネートできる?【専門家監修】何ミリ厚までOK?
- 2021.12.23
- コラム・知識
こんにちわ。ラミネート商社歴48年の㈱稲進(いなしん)です。
「厚紙もラミネートできるの?」
「厚さ何ミリまでの紙ならラミネートできるの?」
そんな疑問をもったあなたにお答えします。
-記事の内容-
【加熱式の家庭用ラミネーター機】
・ラミ可能の厚さ限界は?
・厚紙をラミする弊害・リスク
ラミカを作成するユーザーさんのご参考になれば幸いです。
目次
何ミリ厚までの紙をラミネート可能?
答え:家庭用ラミネーターは
総厚が0.6ミリまで可能です。
(※例 弊社オリジナル商品PIXTER)でご説明します。実際はメーカー、機種によって変動します。)
総厚0.6ミリまで。
で、そこから逆算した「OKな紙厚」はコチラ↓
使用フィルム厚 | ラミネート可能紙厚(mm) |
---|---|
100μ | 0.4まで |
150μ | 0.3まで |
他社様の家庭向けラミネーターの説明書にも最大厚の記載がありますのでご確認ください。
「数字で言われても自分がラミネートしたい紙が何ミリ厚かなんて、分からないよ」
ですよね。
コチラを参考にしてください。
参考:用紙の厚さ一覧
一般的な用紙厚です。
例 | 紙厚(mm) |
---|---|
新聞紙 | 0.07 |
コピー用紙 | 0.09 |
官製はがき | 0.22 |
写真 | 0.2〜0.25 |
預金通帳表紙 | 0.27 |
ティッシュケース | 0.43 |
画用紙 | 0.58 |
画用紙は100均ショップのダイソーさんで売られている「厚紙両面白色美濃判」のパッケージに記載の厚みを参考にしました。
考え方:ラミネーターに通せる紙+フィルム厚とは?
まずフィルムの厚さの説明からいきましょう。
フィルム厚の単位は μ(ミクロン)です。
そして、加熱式ラミネートというのは、フィルムの間に原稿をはさみますね。
フィルム厚μの数字は、「半面分のフィルム厚を」100μ(他200、250など)としています。(各社共通です。)
なので、
「100μラミネートフィルム」といわれるものは【半面100μ+半面100μ】のことです。
100μをミリに換算すると0.1mm。
総厚0.6ミリまで通せるので、
0.6−(半面0.1+半面0.1)=0.4ミリ
つまり
100μフィルムに厚さ0.4ミリの用紙までなら、通せます。
…と、数字上の計算はこのようになります。(誤差はあります)
なので
ティッシュの箱の厚紙(0.43mm)ぐらいはラミネーターに通せます。(100μフィルム使用の場合)
ただし、通過できることと、キレイにラミできるかは別です。
弊害2点:厚すぎる紙をラミネートすると【図解】
厚紙をラミネートする弊害は、2点あります。
弊害❶フチがくっつかない-仕上がりが不安定-
厚紙を挟んでローラー通過できたとしても、しっかりキレイにラミできない可能性があります。
ラミネートの透明な「フチ(耳)」がちゃんと接着できず、剥がれやすいです。
紙が厚いことで、熱が全体に行き渡らないからです。
さらに、厚い/薄いの段差が大きいことでスキマが空きます。くっつく面積が小さいために接着が甘くなるのです。
断面図で説明します。
実例写真で解説
「厚すぎてダメな例」「どんな風になるのか」を写真つきでご説明します。
分厚いボール紙をラミネートしてみますね。
厚さが1ミリもあります。
「ぶ厚いボール紙」を通り越して、もはや「段ボールの薄いやつ」です。
波状の中芯がある「段ボール」です。
ラミネーターに通してみました。
↓100μのフィルムにセットし、機械から出てきた状態。
業務用ラミネーターを使いました。家庭用よりパワフルで可能最大厚も大きいので、通るのは難なく通ったのです。
が…!
機械を通した直後。
フチが白っぽいのは、熱が行き渡っておらずフィルムの「のり」が溶けきっていないからです。
透明だし反射するから、写真に写りづらいですが…笑
半分以上くっついてないんですよ、フチ。
細かく言うと
特に無理なのは「ラミネーターに対してタテ」の辺。なぜなら、厚紙のある部分の方が高い(つまり、先にローラーが当たる)ため、フチにはローラーが接触できない(=圧着できない)のです。
業務用ラミネーターの強いやつでやっても、このありさま。
(家庭用の簡易ラミネーターだと段ボールは通ることさえできないですね)
時間の経過とともに、段ボールに張り付いていた部分にも「浮き」が出てきました。
のりが溶けきらず接着が甘いと、徐々に空気が入っていって、浮いてくるんですよね。
そもそも段ボールは芯に空気をはらんでいますから、余計ラミネートには向いてませんね。
というわけで、
厚紙をラミネートしても
フチが付かず、
剥がれてくるリスクが高い。
ということが伝わりましたでしょうか。
ラミネートが剥がれやすい他の要因
厚みは大丈夫でも、他の要因で剥がれやすくなる場合もあります。
【ラミネート豆知識】
ラミネートの「付き」は、紙の厚さ以外にも要因があります。
・紙質との相性
・インクとの相性
インクがべっとりと乗った濃い色の面積が広いと、浮き・剥がれがちです。
弊害❷ムリに厚紙を通すと機械が劣化する
ムリに通すと、ローラー周りの部品に「ガタ」がきて、ラミネートの低品質につながります。
当然、ラミネーター自体の寿命も縮めます。
コツ!どうしても厚紙ラミしたいなら
「どうしても厚紙をラミしないとにっちもさっちもいかない!」「弊害を知った上で、どうしてもやりたいんだ!」という時があるのかもしれません。
そんな切羽詰まった場合のせめてものコツ。
ラミの「フチ用」に5〜10mm以下程度の透明スペースを確保してトライしてみる、くらいですね。
すでに述べたようにフチが狭い(細い)と接着用のゆとりがありませんから。(※逆に透明部分が広すぎると今度は気泡リスクが高まります。)
段ボール、とにかく成功の確約はできません…。
さきほどの段ボールの例でご覧いただいたように、幅9mmものフチを確保したのに「惨敗」でしたからね…。
色紙(しきし)は?
ちなみに寄せ書きに使う色紙は2mm厚。こちらもムリですね。ラミネーター通すのはやめておくが無難です。サイン色紙は貴重でしょうし。
「この紙、厚み大丈夫かな?」と心配な場合
1枚テストでラミネートかけてみて、確認。さらに万全を期すのであれば、何日か様子を見て剥がれてこないかを確認して、2枚め以降を量産するのが良策ですね。
さいごに:ラミネート最大厚を守ることがキレイに仕上げるコツ
まとめます。
厚紙をラミネートすることのリスク
- フチの仕上がりが悪くなる(付かない・剥がれる)
- ラミネーターの寿命を縮める(ローラーに無理をさせる)
結論!限界を守ろう〜美麗ラミネートを求めるなら〜
説明書にある「最大厚」の範囲を守ってラミネートするのが、美麗パウチへの道。
機械を長持ちさせるためにも正攻法。
あと、段ボール。ラミネートできるか?でいえば「業務用ラミネーターならできる(けど結果は悲惨)」といったところですね…。
色紙(しきし)はもっとムリです。両面ではさむラミネート加工は、色紙ムリです。
ではでは、ユーザーさまのラミ活が美しく楽しいものでありますように。
以上、ラミネート商社の稲進(いなしん)がお送りしました。
※各機種に添付の取扱説明書をご確認下さい。
※当記事はあくまで一般的に考えうる対応を記載したものとなります。お手持ちの機種の仕様、及びご使用状況により対応は異なります。記事内容の実施についてはご自身の責任にてお願いいたします。