ラミネートが白っぽく曇るのはなぜ?商社が対策と原因を解説
- 2022.10.20
- コラム・知識
『ラミネートをしたけど全体的に白っぽく曇ってしまう。』
『広範囲で白く濁る』
『透明にならない』
と、仕上がりに悩んでいるあなたへ。
こんにちわ。ラミネート商社歴48年の㈱稲進(いなしん)です。
実は弊社に寄せられる「ラミネートお悩みトップ5」にランクインするほど多くのユーザーさんがお悩みなんですよ。
当記事では
「加熱式の簡易型ラミネーター」のユーザー向けに
ラミネート全体が白っぽく曇る原因と対策について、ラミネート商社がどこよりも詳しく!解説していきます。
取り急ぎ解決するなら!
「もう一度ラミネーターに通す」
今まさに白っぽく曇った直後なら、もう一度ラミネーターに通しましょう。
再加熱することでクリアーな仕上がりになるはずです。
それでもダメな場合 ローラーをクリーニングしてみましょう。
ローラーに溜まったゴミが邪魔して熱が伝わりづらくなっていることがあります。
ここからは詳しく原因と対策、確認ポイントをみていきましょう。
目次
原因─ラミネートが白っぽく曇る理由は『熱不足』
結論からいって
「熱不足」が原因で白っぽく曇ります。
「のり」の白さです。
フィルムにはもともと粘着剤(のり)が配合されています。それをラミネーター内部のヒートローラーで加熱して溶かし、紙に圧着・粘着させている。これがラミネートの大まかな仕組みです。
加工前のフィルムは白いですよね。
のりが全部溶けるとスッキリとした透明*になります。
加工後も白っぽいとしたら残ったのりの白さです。
*マットタイプのフィルムは加工後も白っぽいです。マット調にするための白さです。
温度不足かどうか、加工する前に認識しておきたいですよね。
どこで確認すればよいかお伝えします。
チェックポイントと対策6選─ラミネートが白っぽく濁る問題
6つのポイントをチェックしましょう。
まず基本的な操作、2点。
①基本─レディランプが点灯しているか
ラミネーターは温まってから加工できる状態となります。
電源スイッチを入れてすぐに使えるわけではありません。
【確認】レディランプ*は点灯していますか?点灯していれば準備完了です。
*機種によってスタンバイランプなど名称は異なります。
レディランプ不点灯でもうっかりラミネートできてしまうので、見落としている可能性はあります。
↓準備ができていなかったため熱不足。
白っぽくザラッとした見た目になってしまいました。
②基本─ラミネーターの温度・速度設定
【確認】フィルムの厚さとラミネーターの温度・速度はマッチしていますか?
温度や速度を選ぶスイッチのある機種であれば、正しく選んでいるかを確認してください。本体や取扱説明書に記載があると思います。
簡易型ラミネーターなら「100μ/150μ」「厚物/薄物」など2択のスイッチで選べるようになっています。
薄物用←→厚物用スイッチするとレディランプがいったん消えます。厚さに合うよう内部で熱を上下しているので、再び点灯するまで待ちましょう。
フィルムが厚いぶん粘着剤の含有量も多い。したがって高温・ゆっくりでないと粘着剤が溶けません。
※過熱だと波打ったり反ったりします。厚みに適した選択をすることが大切です。ラミネートのむずかしいところです。
参考:プロユース機でも温度と速度調整が肝心!
弊社の加工センターでは高性能の業務用機でラミネートしていますが、それでも環境変化にあわせ1台ごとに微調整しています。
室温、機械の設置場所(エアコンに近い遠い等)また作業時間の経過・大量枚数を通すことによっても温度状況が変化するからです。
美麗なクオリティを保つよう徹底管理しています。
──ここまで大前提のチェックポイントを見てきました。
基本ポイントおさらい
①レディランプが点灯してからラミネーターに通す。
②温度とスピード設定をフィルム厚にマッチさせる。
では、基本①②をふまえた上で解決されない場合の
「ラミネーターが温まらない原因」を見てみましょう。
③連続加工で熱を奪われている
大量に連続加工して熱不足になることもあります。通すたびに熱が奪われていくからです。
1枚通したら10〜20秒ほど休ませてから次を通してください。
一気に連続加工し白っぽくなって、2度通しをすると2倍の時間がかかってしまいます。それなら最初から10〜20秒休ませて通した方がまだ時間が短く済みます。
いずれにしても簡易ラミネーターは時間がかかります(それだけ安価なのですが)。
複数店舗のPOPなど大量加工には向いていません。
…と、ここまで読んできて「結構めんどくさいな…」と思われたあなた。そうなんです。
「完全に透明で平らでキレイなラミネート加工」って意外と難しいんです。簡易型ラミネーターだと。
大量POPは私ども㈱稲進に頼んでしまった方が、時間と体力の節約ができます。
多枚数ラミネート加工は稲進におまかせください。
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話を戻しますね。
④紙・印刷状態との相性
紙および印刷状況との相性もラミネートに影響します。
紙の厚さ
紙が厚いと熱が行き渡らないこともあります。簡易型ラミネーターで通せる紙の厚さは「厚紙はラミネートできる?」を参考にしてください。
※逆に紙が薄すぎても別な問題が生じます。(紙がシワになる等)
紙質
コンビニのコピー機などでプリント・コピーしたものをラミネートされていることが多いかと思います。
いわゆるコピー用紙の「質」はラミネートに最適ではありません。
微細な毛羽立ちがあり、少しザラッとしています。ザラザラは小さなスキマがあるということですから、そこへ熱が伝わりづらい。わずかですが空気が含まれてしまうと白っぽくなります。
平滑な紙、ツルツルの方が白くなるリスクは下がります。
稲進ではラミネート加工に最適な用紙に印刷しています。
印刷の状態
印刷状態、インクの塗布量が影響していることも。
ご家庭用インクジェットプリンタでフォト光沢紙などに印刷した場合。色の濃い部分でインクがフォト光沢紙にたっぷり乗って「しっとり」していますよね。湿り気が多すぎで熱不足になる可能性があります。充分に乾燥してから加工しましょう。
⑤室温の低さでラミネーターの熱不足を疑う
作業環境によって温まりづらい場合があります。
【確認】クーラーの風が当たる等、低温の場所にラミネーターを置いていませんか?
冬の寒冷地や、夏でも冷風が当たるとラミネーター本体も冷えて温度不足を起こす可能性があります。冷風から遠ざけるなど場所を変えてみましょう。
⑥内部の温度センサーが劣化・故障している可能性
最後に疑っていただきたいのが、ラミネーター内部の温度センサーが故障している可能性。
↓心当たりありますか?
ラミネーターを分解したことがある
フィルムが詰まった時などにご自身で分解したことはありませんか?その際に内部の温度センサーがズレてしまったかもしれません。センサーが狂うと適温を保つこともできなくなります。
分解はしないでください。分解すると保証対象からも外れます。
ラミネーターの使用年数がかさんでいる
機械の寿命が来てしまっているかも知れません…。1万円前後の家庭用簡易ラミネーターの耐用年数はおよそ1年です。(※使用頻度・機種により大幅に異なります。)
販売店やメーカーに相談して、故障や寿命がきているようでしたら、買い替えも検討された方がいいかも知れません。
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──ここまで6つのポイントを見てきました。
他のトラブルについてもブログで紹介しています。
▼波型の気泡など「一部が」白くなる問題の原因と対策
▼ラミネーターが詰まる問題
▼【まとめ】ラミネートのトラブル解決フローチャート
さいごに:ラミネート全体が白っぽくならないために
うまくお伝えできたでしょうか。
おさらいしますね。
ラミネート全体が白っぽくなる問題
原因は熱不足。
対策は
1.もう一度ラミネートしてみる
2.連続せず休ませながら加工する
3.温度設定を上げる。または速度を落とすことで熱を与える時間を増やす
(厚物は高温でゆっくり通す)
4.ローラーのクリーニングを定期的におこなう
5.ラミネーターを置く場所(冷房の風が当たらないように)に留意
6.厚い紙は白くなりがち。紙質が平滑なものにする
こういったポイントを気にしてもらえると透明なラミネート加工になります。
ラミネート加工で大切なのは「通す紙+フィルム厚と温度速度のバランス」。
取扱説明書の温度速度設定のページも確認してみてくださいね。
ではでは。あなたのラミネートがキレイに仕上がりますように。
以上、ラミネート商社歴48年を誇る㈱稲進(いなしん)がお送りしました。
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※各機種に添付の取扱説明書をご確認下さい。
※当記事はあくまで一般的に考えうる対応を記載したものとなります。お手持ちの機種の仕様、及びご使用状況により対応は異なります。記事内容の実施についてはご自身の責任にてお願いいたします。